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◆◆エッセイ 1◆◆    
※画像のDLはご遠慮ください

◆2005.12.30 あの頃1年の終わりは−レコード大賞のこと
12月も末 今頃はレコ大の音楽打ち合わせも終りスコアも書き上げ『追加』待ちの状況でした 『追加』とは進行の途中ファンファーレ挿入、セレモニーのBGなどが追加されることで、この『追加』『追加』が必ずの付き物なのです
 
12月30日 朝9時TBS Gスタジオで音合わせ開始 この一年の成果をと 歌手の皆さんが選びにえらばれてれての出場音合わせです
 

前日30日の音合わせ
 
NHK紅白と掛け持ちの人々もあり 音合わせはその段取りにより進行します
朝9時皆眠そうな顔の中にも緊張感がただよっています(この時期歌手もスタッフも全員睡眠時間が僅かしか取れてません)
 
音合わせとは 出場曲目の前奏 歌 間奏 等々をオケと確認し合い乍ら歌うのです この時音声さんはそれぞれの編曲の特徴をつかみ タイム・キーパーは細かくタイムを記録します

念入りにチェックを繰り返し・・
 
歌い終えた歌手は ディレクターの待つテーブルに行き明日の細かい指示を受けます この連続ですが 誰もがそれぞれ希望に溢れた顔です
  
音合わせは午後 そして夜までも続き 終るのが午後9時前後 それから『オープニング』や『セレモニー』関係 『エンディング』までの演奏と譜面チェツクで深夜になり30日は終了します
  
帰宅後僅かな仮眠をとり いよいよ31日本番当日 朝7時に帝国劇場(のち武道館)にてサウンド・チェツクが始まります 各ブロックごとのカメラリハーサルが繰り返され(NHK紅白に行っている歌手は代役を立てて) 夕方5時過ぎまで続くのが例年のパターンでした
  
毎年感じた事ですが 歌手の皆さんは 30日の音合わせより31日は輝き そして放送に入るとより一層輝きを増します

31日当日のカメラリハーサル
 
そして緊迫の中 各受賞曲が決定し 最後の大賞歌手の感動の涙 涙 そして会場の大拍手で終了 幕 大賞歌手をNHKに送り出す演出スタッフ ・・まるでエネルギーとエネルギーが火花を散らして空中戦を行ってるかのような・・戦場の様相でした
 
番組終了後 演出スタッフの用意したTBS局内の打ち上げ会で司会高橋圭三氏の一言 私のひとこと 重役氏のねぎらいの言葉 乾杯 でお開き やがて新年を迎えます
  
しかしまだ気は抜けません 今度は『元旦 おめでとうレコード大賞』の生放送です ここで私が大賞曲のみ指揮する というのがしばらく恒例として続いておりました
各受賞者は疲れの色など微塵もなく それはそれは輝いていました 勝負の一線を乗り超えたすがすがしさを見るのは嬉しいものです   
  
これでやっと終わりです。私の1年の締めがこの番組でした 翌日の2日 これが1年に1日だけの唯一の休日となります この頃は本当に多忙を極めていましたので 元旦は私にとって1年の緊張から開放される本当の『お疲れ様の日』でした。
 
 
思えば多くのエピソードのあるレコ大 折をみてまた書いて見たいと思います


 
◆2005.12.29 第1回東京音楽祭世界大会 2
 
引き続き1972年昭和47年の第1回東京音楽祭世界大会を音楽現場からの記憶をたどり また僅かな資料をたよりに書いて見ましょう
 
 司会は三木鮎郎氏 当時TBS『歌のベストテン』の司会をされており 生放送に強い名司会者でした(司会の三木氏の名は私のどの資料にも記されていませんが)

音合わせ風景
 
  3時からの国内大会から勝ち進んだ日本人歌手 伊藤ゆかり 布施明 雪村いずみ 水原弘 尾崎紀世彦の各氏が加わりいよいよ世界大会の生放送です
 グランプリの雪村いずみさん これは誰も言葉をはさめないほどの熱唱で 指揮している私にもオケの皆さんにも その熱唱が大きなうねりの様に伝わってきたのを鮮明に覚えています 歌手とオケが溶け合い一つになり大きく大きく 舞い歌うのです 不思議なもので歌手のエネルギーが ずきん ずきんと伝わり 聴衆全て 武道館をものみ込んでいるようでした 
このような体験の記憶は何度か有りますが その中でも特筆すべき一つでした この大会は日本勢の健闘が目立った印象が残っています
 
この回の審査員としてフランスからフランクプールセ氏が来日し 大会中ごろに自作の一曲を指揮しました  私は前日の音合わせに立会いましたが オーケストラに指示する氏の言葉の度に(勿論通訳を通してですが) 氏とオケのあいだに冷たい空気が流れているのを感じました 氏は自己顕示 権威を 余りにも前に出しすぎていたのでしょうか オケは極めて敏感に指揮者を見 感じ取るものです
 
本番当日オケは前日の事などなかったかの様に忠実に演奏していました しかし音楽の温かみは無く譜面に書かれた音のみが響いて やはり冷たいヒンヤリとした空気のみが虚しく残りました
本来でしたら遠来の客人である氏を オケ全員立ち上がり拍手で送るのが礼儀なのです しかし演奏を終えたオケはシーンと静まりかえったままで 私もこの重い虚しい空気に包まれ 立ち上がる一瞬を逃してしまいました 
生放送です もう次の曲に進行しなければなりません 司会のコメントにかぶせて次のエントリー曲の棒を下ろしました
 
ここで申したい事はオーケストラと指揮者の関係です 雪村いずみさんのバックでは歌い舞っていた同じオケなのです  音楽は和合しあい信頼しあい 一体となりより良いものを求めます 独善的権威での押し付けには冷たい答えになってしまうと言うことでしょうか ポップス 大衆音楽であるからこそより良いものが素直に響く演奏であるべきと 私は今でも思っています
 
追記させていただきますと 同じお国よりやはり審査員として見えていたポールモーリア氏はお互いの目礼の中にも音楽家同士の温かみを感じ取れる音楽家でした
 
進行状態はほとんど私の記憶から消え去ってますが、もちろん23カ国73曲から選ばれた人々ですからにどの方もそれぞれに素晴らしい歌声でした  『でした』の中に入れてしまったフリオ・イグレシヤス、リック・スプリンングフィールドも 味は有ったのでしょうが このエントリーでは大きく印象には残って居ません  歌手にも時期待ちと言う言葉があるのかも知れません その後二人共世界的シンガーに昇りつめています
 
  
第1回の音楽祭 全員が始めての体験です 前日の戦場さながらのすさまじい音合わせもそれぞれの胸の中でそれぞれの思いを残したことでしょう 
前エッセイでも申し上げましたがわたしにとってはあの丸二日演奏漬けのオケ 5時間の生放送 全て一瞬の出来事の様に思えます
ただエンディングの最後の棒を振り下ろした瞬間 疲労感より重責を果たせた心地よさがあったことが鮮明に脳裏に蘇ってくるのです

譜面確認のための打ち合わせ

リハーサル風景

◆2005.12.27 第1回東京音楽祭世界大会 1
 
東京音楽祭世界大会に関しての話題がかなり多いので 平成の今 テレビには映る事のなかった音楽現場の真実を書いてみましょう
 
第1回の世界大会の音楽現場はすさまじいものでした
大会前日武道館での音合わせは午前9時に始まり延々翌日午前3時頃までかかりやっと終ったのです 外来の人々の主張が余りに多く かなり感情的な雲行きで進行せざるを得なかったことが大きな理由でしょうか 世界各国それぞれに それぞれの方法を主張するのですからTBS側としてはそれに良く対応したと思います
 
今でも私の耳に残るのは「長洲先生を早く寝かせろ」の声です プロデューサーのY氏です 私は会場から飛び乗った車で武道館近くに取ってくれていたホテルで3時間程寝たでしょうか 午前7時オーケストラのサウンドチェツク すぐ本番と同じカメラリハーサルの連続  資料によると午後3時からの生放送で 国内大会から引き続き世界大会まで5時から8時 何と5時間のに渡る音楽祭でした 『でした』と書きましたが私には嵐のように過ぎ去った時間の断片的な記憶しか無いのです
 
明確に言える事は 日本の音楽現場の素晴らしさでした 演出美術音響照明さんほか 全てがミス一つ無く2時間の国内大会3時間の世界大会を完全生放送した事です  
 
またオーケストラの一人ひとりも 限界いっぱいの仕事をしてくれました 歌手の光輝くステージの裏には画面では見ることの出来ない側面があるのです

◆2005.12.18
 
あれは五月の中ごろ 「シューマンのリードに麗しの五月に」という私の好きな曲を口ずさみたくなるような或る日 コンクール参加の応募用紙が届きました 「仏教伝道協会40周年新作音楽コンクール」と有ります プロだけのコンクールですし今更恥をかくのは・・・・・と放置したままでした
 
ただ気になるのは 仏教伝道が『人間の在りかた』 『生老病死』 『人間の根源的な問題』への解答を使命としてること また今回のテーマが『仏教音楽の現代化とその普及』である事・・・そんなことが頭から離れませんでした
 
7月に入り何故か心が素直に感じられ 思い直してペンをとりました しかし一方では自己批判をかさね自分を追及追及しつづける思いはやむことがないのです 本当にイヤな面のみが見えて来 それをふりはらい振り払い 天に向かって許しを請い それは散々なもう一人の自分が居るのです 今までの仕事では体験した事のない日々でした
 
葛藤をしつつも自分の心をありのままにと 詩 曲同時進行で書き進め締め切りに間にあいました 
 
9月半ば入選10曲に入った知らせがありました プロ同士の厳しい戦い まあここまでくればと冷静に受止め 書けたことへの感謝で当日を迎えました さすが221曲の中なから選出されただけあり それぞれ力作ばかりの演奏でした その中から私が一位に選ばれたのは大きな幸運だったと思います
   
 
仏教は「人間の根源・在りかた」がテーマです その事が私の心を 静けさの中での自己への厳しい対峙へと向かわせました 
回答の得られない摸索を重ね・・・ まだまだ道遠し 道遠し の実感ですが 得るものは大きかったと思います  
永年プロで仕事をして来た方々はそれぞれ幾つかの賞を受けているもので私も同様ですが 今回は特別のご褒美だったのではとも思うのです