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昭和53年6月18日 日本武道館大ホールで 第7回東京音楽祭世界大会のオープニング 信濃国岡谷太鼓保存会の場内を圧する勇壮な演奏が始まりました オケ軍団の演奏に変わり 上手 下手よりセンター階段から順次紹介を受けて歌手が登場して来ます
世界で一番新しい楽曲が披露される記念すべき一瞬に 歌手の方々も緊張の中にも
期待の微笑みで一杯です
この登場ひとつにしても 司会のコメントに合わせ 上手下手で歌手にサインを出す
フロア・デレクター(FD) アシスタン・デレクター(AD)の腕の見せどころなのです
司会の言葉を聞いてからでは 遅いのです ソデからセンターまでの時間 センターから階段を下りるまでの時間をランスルー(通し稽古)で身に付け 司会のコメントを食う様に早めに登場のサインを出すのです この仕事一つにしてもかなりの経験者でないと円滑に行きません 貴重な経験と 体で覚えた特技がエンディングまで続くわけです
武道館を埋める観客期待の中 コンテストが進みました 世界中から
この日の為に
大きな希望を胸に 集った歌手の皆さん全員が ステージ両手そでの黒幕前に集り 真剣な表情で聞き入っているのが見られます 通常歌手は自分の出番の少々前に そでに居るものなのですが 世界大会では出場者のほとんどが 上下(かみしも)の黒幕前で他の人の歌に聞き入っていました たぶん楽屋に居たのは ゲストだけだっのではないでしょうか
第7回エントリー参加者の熱唱が無事に終りました
いよいよ ダイア・ナロス のゲストショーの開始です 私も話には聞いて居りましたが ステージを圧倒する威風堂々たる貫禄と歌声です ただただ見事なステージ の言葉のみでした
一つ個人的に感じたことですが 彼女には白人の指揮者が同行して来ました ショー半ばで白人指揮者が 花で造られた見事な髪飾りを 恭しく両手で顔高くまで捧げ ゆっくりと指揮台からステージ中央の彼女に捧げ 急ぎ足で指揮台に戻りました 彼女はその髪飾りをゆっくりと髪にさし 少々のコメントをして次の曲に入りました 私はこれを見て洗練された所作と言うか アメリカのショービジネスが生んだスマートな所作と解釈しました もし日本でこれと同じことが行われれば 必ず失笑を買うことは 間違いのないことでしょう
ダイアナのギラギラ輝く歌声に 武道館の観客は本当に堪能した様子でした
毎回ゲストショーで思うことなのですが アメリカのショービジネスをそのまま武道館に持って来ている事なのです 今までのゲストで東京音楽祭を いやな言葉ですがナメていたり手抜きを見せた方は一人も居ません 厳しいアメリカのショービジネスそのものを見せ聞かせてくれました
この音楽祭の結果や様子は直ちに世界中に報道されて居ました エントリー歌手は勿論ゲストの出来も即報道されていたのを重々承知していたのは事実だったと思います
厳正な審査結果が発表されました
大 賞 アル・グリーン 『愛しのベル』 アメリカ
金 賞 デビー・ブーン 『愛の祈り 』 アメリカ
銀 賞 ケイト・ブッシュ 『嘆きの天使』 イギリス
銀 賞 エモーションズ 『涙色の天使』 アメリカ
銅 賞 朴 京 姫 『雨のめぐり逢い』 韓国
銅 賞 リーバナロ&マニラ・ミユージュク・マシーン
『二人だけの愛』 フィリッピン
最優秀歌唱賞
布施 明 『君の歌が聞こえる』 日本
外国審査員団賞
西城 秀樹 『 炎 』 日本
大賞のアル・グリーンは 誰も口を挟むことの出来ない歌唱でした
静かな語りから マイクが壊れると思う程の良く張った声 いつの間にかファルセット
(うら声)に移り どこにブレス(息継ぎ)を入れているのかと思うほどのロングトーンには 魅了させられました 金賞のデビー・ブーンは大御所パット・ブーンの娘でグラミー賞で最優秀新人賞を受けているスケール・フィーリングとも超一流の大型シンガーの声をそのままに聞かせてくれました
イギリスから参加のケイト・ブッシュですが 私の所見ですが今までに無いタイプの歌手でした ピンク・フロイドのデイブ・ギルマモアの薫陶を受け パントマイムも習得して居り 歌の中にも美しいパントマイムを取り入れての歌唱は ケイト独特の世界を展開しました 妙な表現ですが 東洋の香木の香りを感じさせた珍しい歌手でした
受賞の歌手もそれぞれ見事な熱唱を聞かせてくれ観客を堪能させました
特筆すべきは 最優秀歌唱賞の布施 明氏の受賞でしよう 最多出場の氏にとって
この賞は納得のゆく受賞だと言えましょう フランスから審査員として来日の作曲家ミッシェル・ルグラン氏も布施氏に一票を入れたことと思います
外国審査員団賞の西城秀樹氏は 全編熱唱に次ぐ熱唱でこれも納得の受賞でした
満場熱気の中でエンディングの最後の音を振り終えた今回の私は 何の事故もなく
無事に終った事に 感謝の心で一杯でした
面接から音合わせ 武道館でのカメリハ ランスルー 本番 と慣れからくる「何かが起きる予感」を跳ね除けたのは やはり注意力 集中力 水も漏らさぬ完全主義で 人々には悟られ無い様に行えた事だったのではないかと私は思いました
しかし オケ軍団は敏感ですから 或いは 読まれていたのかも知れません 話題 態度には出して居ませんでしたが オケ軍団の暗黙での私への思いやり いたわりが無事に仕事を完成させてくれたとも言えましょう
たった一曲を歌い 競う為に東京に集まった歌手さんたちです 賞外だった方々も
ステージ裏で一緒に喜び合っているのは 美しい美しい姿でした
プロデューサーのギョロなべさん(渡辺正文氏の愛称)が控え室に顔を出しました
「先生ョォー サウンドINエスに顔出してョォー」 との事です ギョロなべさんは本当に
気が付く方でした 世界大会が終わり 23時から なべさんの番組サウンドINエスで特別番組として「祝賀世界大会」の放送があります なべさんとしての 精一杯の私へのねぎらいの言葉です 有りがたく言葉だけを頂きました
前回にも記しましたが この年は『日本レコード大賞20周年記念』 1月には『ザ・ベストテン』」の放送が開始されました (ベストテンの製作開始当時のトップはなべさん渡辺正文氏でした) 戦後の大衆音楽が頂点に有った時期でした
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