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◆◆エッセイ 8◆◆    

◆2006.12.28 レコード大賞第15回現場より (1)
 レコード大賞は第1回より第10回まで、TBSテレビが東京ローカルで平日午後に独立番組として放送をしていました。 TBSはオールスター大行進と言う歌謡界総出演の番組を絢爛、豪華に31日に放送していました。
 レコ大は10年の地道な歩みが認められたのでしょう、11回から帝国劇場で司会に高橋圭三先生、森 光子さんを得てオールスター大行進の時間枠7時〜9時の2時間で放送される様になりました。 帝劇の第11回より歌謡音楽業界、そしてテレビのお茶の間の賛同を得たのでしょう、国民的一大行事とまで呼ばれ認められてきました。
 制作側のTBSも、レコ大に携わる一人一人が始めての体験でした。歌手は勿論、演出、音楽、美術、照明、音声、カメラ、一度だけの生放送に全員が燃えに燃えていたのは忘れられない想い出です。
 
司会の高橋圭三先生と森光子さん
 全国放送になり、5年目の第15回レコード大賞を想い返して見ましょう。
 高橋圭三先生、森光子さんの気品ある司会で始まりました。
 15周年を記念してTBSの諏訪 博社長の祝辞があり、正にレコード大賞が認知された瞬間と言えるでしょう。この年から10年間の全盛期を迎えるのです。
 
 帝劇一杯の観客も5年の間にレコ大への期待が大きく、熱気一杯です。
 ステージは中央に見事な階段が創られその左手にオーケストラ・ボックスがあり宮間利之とニューハード(後半は高橋達也と東京ユニオン)、弦は8,6,4,4、ハープ、混声合唱40名、と豪華版です。(私は前半ミッドナイト・ブルーのベルベット地でフロック・コート風のデザインで首にはシルクの白マフラーを巻き、黒真珠のネクタイピンで止めていました。後半は黒タキシードを着用しました。余計な事をお許し下さい。)
 
第一部を指揮する私
 30日は一日中の音あわせでした。NHKの紅白出場者との、やりくりに演出側は忙しい思いをしていました。いよいよ31日は朝7時からのサウンドチエックですが、オケの皆さんも5年の経験からか、明るい雰囲気です。
 私が最も注意したのはオケの皆さんの疲労度です。朝7時から夜9時までの演奏ですから疲労が有って当然です。
12月に入って演出諸氏との打ち合わせには、必ず31日の休憩時間を出来る限り有効にとってくれる様に申し入れを行っていました。演出の気配りを頂きカメリハとカメリハの間、照明直しの間、など等、で一息ついたものです。
 
 第15回レコ大は新人賞のメドレーから始まりました。客席担当司会の玉置 宏氏の明快で見事な話術が会場を明るくしています。
 浅田美代子−安西マリア−あべ静江−アグネス・チャンと新人賞受賞の4人から, 最優秀新人賞が選ばれます。4人の新人、今年選ばれた幸運の新人さん達のメドレーが終わりました。
 続いて作詞賞 阿久 悠 作曲賞 浜圭介 編曲賞竜崎孝路。企画賞。童謡賞。そして15周年特別賞として渡辺ハマ子氏が『夜来香』をクラシックの発声法で美しく聞かせてくれ、2人目の特別賞にピンカラ兄弟『女のねがい』。何しろこの年に『女のみち』181万枚で売り上げ1位、『女のねがい』84万枚で2位を売り上げた社会への浸透力の強い演歌です。たしかデビューした時は3人だった筈ですが兄弟2人での出演でした。 
 
第15回レコ大ステージ
 高橋圭三先生の流れるような司会で、15週年記念賞受賞者が、それぞれ印象的なメロディの流れに乗って紹介されます。新人賞のメドレーと言い、この紹介の方法は書く私は手が掛かりましたが、音楽的にも、ステージング上からもスマートな方法だと言えましょう。
 青江三奈−北島三郎−ザ・ピーナッツ−西郷輝彦−佐良直美−水前寺清子−橋 幸夫−フランク永井−美空ひばり−水原 弘−都 はるみ−森 進一の各氏が音楽にのり、圭三先生の名司会で紹介されました。この12名を代表して、美空ひばりさんが『 柔 』を実に堂々と歌われました。 この方は後ろで演奏している私にも、うたの勢い、熱気が伝わってくる数少ない歌い手さんの中でもやはりトップでした。直前までインタービューを受けていて即、歌の主人公に成りきる切り替えの見事さは、やはり 美空ひばり さんでした
 
 ここで第1部が終わりました。オケは大変です。ニューハードは2部担当の高橋達也と東京ユニオンの皆さんとの乗り換えを、慎重に行っています。私はタキシードの着替えを袖でします。この間にCMが流れ高い視聴率を上げているわけです。
 
 この第15回レコ大は、やはり10年の地道な積み重ねとメジャーになってから5年の時を得て一歩一歩の実績の集大成だと思います。時節を味方にした勢いはすさまじく上り坂を駆け上ります。この第15回の前年の昭和47年に、TBSは東京音楽祭世界大会を開催してその成功に音楽業界を驚かせました。
 
 第15回レコ大から5年後の第20回の年に『ザ・ベストテン』が誕生し『レコ大』
『音楽祭世界大会』の3本柱で音楽全盛期に向かって突き進むことに事になるわけです。  (第2部に続きます)

◆2006.12.22  クリスマス きよしこの夜
 一年の時は流れ、いつの間にかクリスマスを迎えました。昭和30年代の今頃、銀座では歩くことが出来ないほどの人並みと、クリスマス・ソングが深夜まで鳴り響いていました。昭和40年代になると、人々は落ち着いたクリスマスを楽しむようになった様です。
 今は山下達郎、桑田佳祐、Bz、Mr.Children、等などのクリスマス・ソングが支持を得ている様です。また大勢の歌い手さんがクリスマスにターゲットを絞り歌を出しているのは、昨今の特徴と言えそうです。
 
            世田谷聖母コーラス
 日本には数々の宗教が混在しており、今時分はキリスト教徒のようになり、また正月元旦には神道での初詣と忙しい民族です。
 
 私はあの多忙、超多忙の昭和40〜50年代にカソリック教会のミサの為の聖歌隊世田谷聖母コーラスを創設し指導をしていました。年末といえばテレビ業界では忙しさの頂点となる時期です。しかし不思議なことに、その過密スケジュール真っ只中の24日だと言うのに、仕事の合間に計ったように2時間ほどのスキマが出来るのです。ある年は5〜7時、またある年は6〜8時、10〜11時30分、という様にです。TBSがある赤坂界隈から車を30分とばして世田谷深沢に行き、ミサの儀式を40分、そしてまた赤坂へとんぼ返り、これが私が世田谷聖母コーラスを離れるまでの11年間続きました。
 イタリア人の神父さんも我慢強く待ってくれました。そんな私に合わせてミサの時間を調整してくれた教会に、感謝したものです。
 
 ミサの聖歌というのは300年前のラテン語で歌われるものですが、24日のたった1日だけの為に1年間稽古をするのです。 当日、カソリックの厳粛な儀式に添って演奏する聖歌は、敬謙な身の引き締まる思いでした。
 多忙で合唱指導を辞した年からは24日の仕事の間に2時間のスキマが出来る、ということは無くなり ぎっしりとした日程に戻りました。
 きっと聖母マリア様イエス様が時間をお創り下さっていたのでしょう。
 
 この聖歌隊での勉強は私にとっては有り難いものでした。 春にはゲストを迎えてチャリティ・コンサートを行い、多くの方に喜んでいただけたのは私にとっても大きな喜びでした。(勿論私はこれらすべてボランティアでした)
 
  クリスマスに必ず歌われる曲は、 「きよしこの夜」でしょう。 
27年前に読売新聞に連載を書いた折に「きよしこの夜」に触れました。それ以後もこの曲の編曲をしましたが やはり、いじり廻すほど虚しい思いをするのは変わりません。
やはりシンプルに、心をこめた編曲がこの曲にはふさわしい様です。
 
 この曲はオーストリアのオーベンドルフ教会のオルガニスト、フランツ・クサヴァー・グルーバーが作曲し、同教会の副牧師ヨーゼフ・モーアがマタイ伝第二章から詩をつけ
1818年に完成されました。覚えやすい旋律、ハーモニィも主要三和音(スリーコード)と極めてシンプルな構成であることも、歌い継がれている大きな要因でしょう。
 
 日本でのキリスト教音楽は1605年(慶長10年)長崎で典礼書、聖歌が印刷され日本初の印刷楽譜が生まれました。また西洋音楽は明治以降に日本に入ったとの記録が多い様ですが、キリスト教伝来と共に宗教音楽は日本に入っています。長崎県の生月島には「おらしょ」「さん・じゅあん様の歌」など等 聖歌が伝えられています。
 
 未だ道なかばの私が今年のクリスマスに願うこと・・
人々から信じられること、 すべての人々に感謝すること。
この2つです。

◆2006.12.16  ザ・ベストテン06・12・15
 ザ・ベストテン06の生放送を見ました 黒柳さんの変わらぬお元気さには脱帽で 安住アナのなかなかの切れの良さと生放送に強い一面を感じました 
 何よりも出場歌手が今の人々であり 画面を通じて強いエネルギーを感じさせくれたのは 演出の力でもあるのでしょうが見ていて楽しい思いでした 
総合演出に山田修爾氏の名も見え 変わらぬ氏の情熱が燃えているのを感じました

 今回の方程式であれば 年に2回 今の歌手での今様の形の『ベストテン』が生まれてもおかしくないでしょう 視聴率的にも浸透してくれば 年に2回の大きな呼びものになる可能性を感じます

 司会席と黒柳さん、出場回転ボードとミラー、オケ・セット は何と言っても印象深く 多くの人々が記憶を呼び起こすでしょうし 今でもセットとして古さを感じさせないのがいいですね 確か美術の名人三原さんの作品です  
 美術の三原さん 美術製作の和田さんは レコ大 音楽祭の美術も担当してTBSの美術ここに有り と素晴らしいセットを見せてくれた大切なお二人です 私は音楽祭 レコ大ともに 毎回名人の技を楽しみにしていたものです  
 
 さて06ベストテンですが 今売れている歌手の皆さんが それぞれに味の有る歌を披露してくれました 
 Wat、ニューヨークからの中島美嘉、一青窈はヒット曲と新曲の2曲、お笑いの桜塚やっくん、ア カペラ コーラスのゴスペラーズ、 皆さん 良く歌い込んでいました
 
 特筆のものとして 時代を反映して性同一障害の中村 中を紹介した事です 二十数年前のベストテンでは取り上げられることがなかったでしょう 歌謡番組でも社会的な問題に取り組めることを実証した 実に優れた企画だと思います 中村 中も15歳当時の作品をよく語 っていました  
 
 また生誕250年記念のモーツアルトの名曲をBGMにしたのは なかなか品位ある演出でした  
 生放送ならではのハプニングを2、3見かけましたが 私にはむしろ微笑えましく写りました ただ ゴスペラーズのマイク・バランスだけは 如何なものかと・・。  
 
 番組をご覧の皆様はどの様なご感想をお持ちになったでしょうか
 
 今 大衆から支持されている歌手の皆さんは皆輝いていますね あの輝きはいつも不思議に思うのです ベストテン 世界大会 レコ大では共通して 今幸運の女神が微笑んでいる人達のみの出演で 毎年毎回 あの輝きは何だろうと思い続けていました ベストテンでは人気の継続の周期 落差が激しく 続々と新たな光輝く歌手が登場しました 反面時流に置いて行かれた人々を思うとき この業界の厳しさ ショービジネスの厳しさを実感し胸が痛みます
 
 再度ですが今回の方程式であれば 今様の新しいベストテンとして楽しめるのではないか の思いです 演出の山田修爾さん どうぞご健闘下さい
 
 ちなみに 画面後方でクリスマスケーキを造っていたパテシエ辻口氏のモンサン クレールのお菓子は美味しいですね 私の家からそう遠くない所に出店があるので よく求めに行ってますが 氏は世界でトップに立ったパテシエだとのこと こちらもまた洋菓子界での時の人なのですね